(金門 8日 中央社)国共内戦の最前線として軍政が敷かれ、一般人の上陸が制限されてきた金門県の離島、大胆島の観光が1日に解禁された。島内の観光スポットの中で、両岸(台湾と中国)間でかつて繰り広げられたプロパガンダ戦の名残をとどめる巨大な塀が一番人気となっている。
金門本島の西約13キロに位置し、中国大陸のアモイから東に5キロも離れていない同島。1950年の大二胆戦役や58年の金門砲戦では激しい戦いの舞台となり、「前線中の前線、離島中の離島」などとも呼ばれる。金門砲戦後から90年代初頭にかけてはプロパガンダ戦の最前線として中国兵に投降を呼び掛ける放送などが行われ、86年にはアモイからでも見えるようにと「三民主義統一中国」のスローガンが掲げられた高さ3.2メートル、長さ20メートルの塀が建設された。
同県のガイド協会によれば、この塀を中国側から見る場合、200人民元(約3300円)を支払って船に乗り、海の上から眺めるのが一般的。今回ツアーに参加した観光客の多くが、同島でしかできない至近距離からの記念撮影に興じたという。
同県政府は、2014年に同島を接収・管理して以降、観光化に向けたさまざまな取り組みを進めてきた。観光解禁に当たっては、隣接する離島、烈嶼を起点とした約5時間の半日ツアー方式を採用。烈嶼の九宮埠頭(ふとう)から同島までの船の所要時間は片道約30分で、上陸後はガイドの案内で主に徒歩と電動車で観光し、かつて総統や軍の高級将校らをもてなした茶房も訪れる。料金は一人1500台湾元(約5400円)。
(黄慧敏/編集:塚越西穂)
|